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<2020年06月01日>6月を迎えて(根本専攻長メッセージ)

 はや、2020年も6月になりました。今学期は、新型コロナ対応のため開始を3週間遅らせたうえで非対面授業を行っています。公民連携専攻では、2008年度より、遠隔地に居住する院生のためのインターネット通学制度を導入しています。今回はその経験を大いに活用して、院生全員がWeb会議に参加するという方法で取り組むことができました。毎講義ドキドキしながら臨み、ときどき思い通りにいかないこともありますが、多少のトラブルがあっても経験を積むと対処できるものだと感じています。何より長時間通勤に消耗させられることもなく講義に向かえるのは大きな利点です。

 とはいえ、やはり、教員と院生が対面した方が良い場合があることも事実です。大学は大人数を集める場所であることから真っ先に休業要請された業界ですので、緊急事態宣言が解除されてもすぐに元通りとはいきませんが、安全を確保したうえで、徐々にキャンパスでも活動できるようになることを期待しています。
また、PPP研究センター、アジアPPP研究所としての研究活動も、6月からはオンラインを軸に本格的に開始します。アフターコロナのPPPというのは、世界的に見ても大きな研究テーマだと思います。

 感染症対策は政府の責任だとして、それは国なのか、都道府県なのか、市町村なのか、感染のグローバル化を考えると世界政府としての国連やWHOはより大きな責任を果たすべきだがその能力があるのか、その中で民間企業の果たす役割は何か、日本は国民の自粛によって第1波を乗り越えたとされるがなぜ自粛したのか、自粛は守らなければならないのか、自粛しない個人や企業は社会から排斥されてもよいのか、自粛ではなく契約や法制度によるガバナンスは機能するだろうか、感染リスクのある施設を地域がいかに受け入れるのか、そのための合意形成の条件は何か、自粛状態で合意形成する方法はないか、ソーシャルディスタンスとコンパクト化は両立するか、アフターコロナのコンパクトシティはいかにあるべきか、アフターコロナにおける公共施設やインフラはどうあるべきか、巨額の経済対策で財政はどうなるのか、次世代がどのような影響を受けるのか、アフターコロナでも生き残れる企業をいかに救うか等々です。
いずれも簡単に出せる結論はありませんが、少なくとも、アフターコロナの世界では「大きな政府」に逆戻りして、PPPが要らなくなるという結論はありえないでしょう。逆に、従来型ではない新たな技術開発を行ったり発想を取り入れるための創意工夫や、財政負担を減らすのため効率化の知恵を取り入れることはPPPの使命だといえます。東洋大学PPPは、今後も社会に貢献できる教育研究活動にまい進してまいります。

 

公民連携専攻長・PPP研究センター長 根本祐二