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<2007年09月>大胆な発想で公有資産の有効活用を-議場をコールセンターとして貸し出す新潟県南魚沼市に学ぶ

 9月の官庁速報では、安倍晋三首相の突然の辞任と自民党総裁選、そして福田康夫政権の成立のニュースが他を圧倒した。当然であろうが、他に大きなニュースがなかったということは、この間の実質的な政治空白を指し示す証左でもある。新政権の一刻も早い政策の打ち出しを期待したい。

 残念ながら、地方行財政の現場には、中央政党の都合に合わせて様子を見ていられるほどの余裕はない。9月7日に総務省から公表された新しい財政指標である実質公債費比率では、「(都道府県と政令市では)比率が18%以上で起債に許可が必要なのは4道県8政令市で、市区町村では全体の3割弱に上った」(9月7日iJAMP)とされている。大都市に不利としてこの比率自体の有効性に疑問を呈する声(政令市)もあるが、自治体にとって少しでも経営を効率化できる方策を追求すべきであることは事実であろう。

 そうした中、大いに興味を引かれるニュースがあった。新潟県南魚沼市が、「市町村合併で使われなくなった旧塩沢町の議場をコールセンターとしてヤマト運輸に貸し出す」というニュースである(9月27日官庁速報)。「東京都内の顧客対応が追いつかなくなったため、都外へのコールセンター設置を進めており、同市は秋田県横手市に続き2カ所目となる」、「11月1日の開設を目指しており、地元から100人を雇用、最終的には200人を雇用する予定」とされている。

 未利用資産が活用されるだけでなく、大きな雇用も生まれる。本件を機に別のコールセンターや、コールセンター以外の企業誘致につながる可能性もある。地元にとって大きな経済効果を期待できる内容だ。資産の有効活用を戦略的に行うこと、いわゆるアセット・マネジメントは民間企業にあっては当然に必要とされる。投資した資産を眠らせているようでは厳しい競争に打ち勝つことはできない。自治体がこの感覚を身につければ、現状の活用の程度が低い分、逆に改善の余地は著しく高いとも言える。これはチャンスととらえた方がよい。

 9月27日に東洋大学は、時事通信社の後援も得て第2回日米PPPフォーラムを開催した。そこでは、ジョージア州サンデイ・スプリングス市の民営化の事例紹介が注目を集めた。人口9万人の市の行政を、警察、消防、救急を除いた業務を特定の民間企業に委託し、市には、市長を除いてはわずか3人のマネジャーがいるだけという説明には会場中がどよめいた。地方制度の異なる米国の例がそのまま日本で当てはまるものではないことは言うまでもないが、従来の発想から抜け出て地域経営を改革しようとする姿勢は大いに参考にすべきである。

 遊休化した公共施設を民間に賃貸する方策は、そうした中でも比較的進めやすい方策であろう。空いている土地や建物がいくらあるのか、民間から見て魅力的な物件はどれなのか、それを利用してもらう(そして収入を上げる)にはどうすれば良いのか、真剣に考えて実行に移すべきときである。
 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)