1. 東洋大学PPPポータル
  2. 2007年度
  3. <2008年02月>新しい行財政改革の動き=矢祭町、京都府、サンデイ・スプリングス市

<2008年02月>新しい行財政改革の動き=矢祭町、京都府、サンデイ・スプリングス市

 昨年末、公民連携の観点から注目すべき動きがあった。一つは、福島県矢祭町議会が「議員報酬を月額制から3万円の日当制にするとした」(07年12月25日iJAMP)ことである。「議員1人当たりの報酬は月額制の年約260万円から年約90万円となる」(同)見込みとなり、大幅な財政削減効果がもたらされる。

 同町は、「合併しない宣言、スタンプ券での納税、寄贈本を集めた図書館の開館など独自の施策を打ち出す」(07年7月17日iJAMPトップインタビュー)など、独創的な改革を進めていることで著名である。議員報酬削減が常に正しい方策かどうかは別として、自らを聖域視することなく議員自身が律した姿勢は大いに賞賛されるべきである。

 もう一つは、京都府立体育館の運営者を決定する“協働化テスト”、すなわち京都府版市場化テスト(官民競争入札)の実施である。あらかじめ開示された客観的な基準に基づいて官民四者による競争が行われた結果、100点満点中25点を配点された価格要素も含めて最優秀と選定されたのが、もともとの運営者である京都府自身(府立体育館)であった。(08年1月15日官庁速報)

 官民競争入札は、官民のいずれが優れているかをあらかじめ決めず、ケースバイケースでより優れた方を選ぶという合理的な発想に基づいている。旭山動物園の例を見るまでもなく(07年4月4日オピニオン)、官も優れた運営能力を発揮できることは大いにありうる。サービスの受益者である市民の側からみると、優れたサービスを提供してもらえれば官でも民でも構わない。かくして、官民競争入札は、「官か民か」あるいは「市場か政府か」というイデオロギー的な二分論から脱却し、市民に多くの選択肢を提供したのである。

 官民競争入札では、官が勝ったとしても単純に現状を維持するのではなく、民との競争に勝ったその提案を実行する義務を負う。確実に改革が進む仕組みなのである。府立体育館が提案内容に従って民以上の成果を上げるとともに、間接費用の測定も含めて適正な評価が行われること、その過程で市民による的確なモニタリングが行われることを期待したい。

 さて、市民の側が、さらに大胆な選択をしたのが米国ジョージア州サンデイ・スプリングス市である。約9万人の市民が、新しい市の設立にあたって自分たちの公共サービスの担い手を政府ではなく民間に決めた。現在、全面的な運営委託を受けた民間企業(建設会社)が市の通常業務すべてを担っている。すでに同市だけでなく周辺地域でも同じ仕組みが開始され、さらには別の州では既存の市を民営化する動きまで出ている。

 日米に制度的・風土的な相違があることは言うまでもない。だが、官ではなく市民自らが公共サービスの在り方を決めた事実、政府に委ねていた市民が自らの決定権を取り戻した実績を軽視してはならない。この動きは、英国発祥のPFI(Private Finance Initiative)が日本やフランスに伝搬して世界標準の一つとなった歴史をほうふつとさせる。ぜひ、ご注目いただきたい。
 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)