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<2009年06月>エリアマネジメントによりまちづくりの実効性を高めよう

 5月27日、まちづくり支援強化法(正式名称:都市再生特別措置法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律)が成立した。本法律は、地域住民・企業等が主体となったまちづくり事業・活動を推進するために新たな無利子貸付制度や協定制度を創設するとともに、既存のまちづくり交付金による支援の充実を図ることを目的としたものである。数年来検討が続けられてきた、地域を個々の土地・建物ではなく、地域全体の観点から管理するエリアマネジメントが、初めて制度的に導入されたという意義を有している。

 この観点で最も注目しているのが協定制度である。これは、地権者が、自分たちの地域内で、歩行者が動く空間を清掃したり、公共空間での防犯活動、ベンチ・植栽・エスカレーターなどの設置や管理を行ったり、これらの管理費用の分担を自主的に協定として取り決めるものである。さらに、地権者が交代した後でも、その義務が承継されるという効果を持たせている(承継効)。

 地域とは、官民の個々の地権者が保有する資産(土地、建物など)の集合体である。権利はそれぞれの資産にのみ及び、他者の資産には及ばないため、地権者の方針がそれぞれ別々であれば、町全体としては著しくバランスを欠いた魅力のないものになってしまいかねない。個人地権者の権限に制限を加えて、資産の活用用途、規模、時期等を全体として最適化する役割を担うものが都市計画である。

 今回の協定は、既存の都市計画制度ではカバーし切れなかった、個々の地権者の資産のつなぎの部分を歩行者ネットワークとして定義して、地域の自主的な判断と責任によって整備促進するとともに、承継効を持たせることで、都市計画同様、法的に保障された枠組みとしている。

 協定制度の効果は、これがない場合を想像してみると明らかである。歩行者空間の清掃が行き届いていない、犯罪が起きてもチェックできない、ベンチや植栽がないあるいは適切に管理されてない、誰が管理しているのかあいまい等々の問題が起きているまちに魅力を感じることができるだろうか。

 確かに、都市計画や協定がなくても、魅力のあるまちは数多い。歴史、伝統、気風があるのだろう。だが、投資リスクを負う第三者には、法的な保障が必要である。今までそうだったから今後も同じとは限らない。協定の存在は、まちの価値を将来にわたって維持していくという地域の合意を示す客観的な証なのである。

 本法による無利子貸付制度の創設や交付金の拡充は、昨今の金融危機後の税収の減少や、地場企業の財務状態の大幅な悪化にあえぐ地域にとってカンフル剤ともなるもので、地域にとって大きな支援となろう。

 しかし、あくまでも責任主体は地域である。公的支援だけを頼みにして、自らの責任を果たさない地域に対して、第三者がリスクを負って投資してくれると期待してはならない。その意味でも、地域自らのガバナンス能力を高める協定制度の持つ意味は非常に大きいのである。 
 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)