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<2010年08月>PPPで社会資本老朽化に対応を

 政府の2011年度予算概算要求基準が決定された。

 今回の概算要求基準は二つの意味で注目された。第1に、現政権がゼロから手がける手掛けるはじめて初めての予算、言い換えれば、マニフェスト(政権公約)の具体化の筋道を体系的に国民に示す最初の機会だったという意味である。第2に、7月の参院選で示された民意をいかに反映させるか、言い換えれば、与党敗北の理由を政権としてどう受け止めたかを示す最初の機会だったという意味である。

 第1の観点からするとマニフェストの実現が必要である。だが、第2の観点からは必ずしもそうではない。民意がマニフェスト実現を求めなかったとすれば、両者は正反対の意味を持つことになる。

 与党敗北の理由として多く指摘されたのが消費税である。だが、各種世論調査では、消費税そのものが上位にランクされている訳ではない。同じく消費税率引き上げを掲げた自民党が議席を伸ばしたことを考えると、消費税そのものが敗因とは言えない。

 では、何が理由だったのか。筆者は、民主党が、郵政民営化見直し、子ども手当て、高速道路無料化などの「大きな政府」的なマニフェストを推進しつつ、同時に、消費税増税を言い出したと、有権者が受け取ったためと考えている。「大きな政府」およびそれに伴う将来の財政に危機感を抱いた国民は、“「みんなの党”」を躍進させる一方、「ばらまきのための増税」ではないかと疑念を抱き民主党にストップをかけたのだと思う。

 財政状態を考えれば「大きな政府」は処方箋処方せん足りえない。基本的に市場メカニズムを活用しつつも、政府もが責任を果たすというパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)を個々に構築する以外に道はないのではないだろうか。そうすれば増税の議論もタブー視されることはないだろう。

 いずれにせよ、反省すべきは、「ばらまき」と受け取れる政策の方であり、財政健全化の一選択肢として検討されるべき税制改革ではない。今回の選挙結果が、政党を問わず今後税金を争点にしにくくし、結果的に、選挙で信を問うことなき増税につながることが心配だ。

 さて、最近、政府がさまざまな分野で、PPPの活用を提起しているのは高く評価すべきである。特に、社会資本の老朽化問題に対してはPPPは有効だ。筆者の試算では、今後50年間にわたり近年の公共投資を3割増にしなければ、すべての公共施設、インフラを更新することができない。いずれは、建物が倒壊し橋が崩落し上下水道が使えなくなる。放置すれば確実に社会資本は破綻(はたん)する。

 かといって、国も地方も公共投資の予算を3割増にできるはずがない。だが、PPPを使えば、今までの予算の範囲内で、3割増の機能を果たせるような知恵を出せるかもしれない。長寿命化、統廃合、共用化、余剰資産活用、プロジェクト・ファイナンス(事業融資)など建設、不動産、金融の総合的なノウハウが生きる。社会資本更新自体が成長産業になるのである。 
 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)