1. 東洋大学PPPポータル
  2. 2007年度
  3. <2010年09月>政策論争に基づく選択が不可欠=民主党代表選に望む

<2010年09月>政策論争に基づく選択が不可欠=民主党代表選に望む

 ごく少数の政治家が非公式に会合を持ち、反目、駆け引き、妥協、取引を繰り返して政権の方向を決め、配下の議員は皆従っていく。国民が、こうした国民不在の不透明な政治に別れを告げ、自ら政権を選択できる体制を作ったのが2009年衆院選である。積極的に民主党を支持したのではなく、政権交代そのものに意味があったのだ。いつでも政権交代可能という状態は、民主党であれ自民党であれ、政権の座にあるものに、常に緊張感を与えて国民目線での政権運営をさせる原動力になるはずだった。

 その点、先週来、民主党内で起きていたことは国民目線からはまったく理解しがたいことだった。最後の最後に、代表選挙の投票実施が決まったことで、民主党だけでなく政治全体への信頼感も辛うじてつなぎとめられたと言えよう。両候補者が原点に立ち返ったことは評価して良い。

 だが、この間、党が分裂しかねない深刻な対立といいながら、党内を二分するほどの激しい政策論争がまったくされていないことは問題だ。代表選に出馬しようとするなら、まずは、政策を提示して他者の支持を仰ぐべきだ。

 まず、菅直人総理には、参院選の敗北理由となった消費税の検討をどう扱うのか、あるいは衆院選マニフェストの修正をするのかしないのかを聞きたい。これに対して、小沢一郎前幹事長が、消費税は上げない(あるいは言及しない)、かつ、衆院選マニフェストに回帰すべしと主張するのであれば、それが財政的に可能であることを客観的に示していただきたい。もちろん、景気対策や最近の円高対策の具体策も提示すべきだ。

 今までの流れから推測すると、菅総理は財政健全化に軸足を置いた現実路線を打ち出すだろう。小沢前幹事長は、衆院選マニフェストと景気対策を前面に出すのではないか。この二つには大きな差があり、代表選の場で堂々と争うべきテーマだ。候補者だけでなく、支持を表明する側も、この政策を行うからこの候補者を支持するという理由を示すべきだ。政治家は、好き嫌いはもちろん義理人情やしがらみで行動すべき時代ではない。有権者は次の選挙に備えて、そうした議員の行動を厳しく見ていることを忘れてはならない。

 さて、代表選後の分裂を懸念する声がある。だが、一国民としては分裂したほうが良いと思う。野党時代は政権を取るという一点で大同団結しても良かったかもしれないが、与党になった以上政策実現が義務だ。政治手法と基本政策がまったく異なるグループが一つの政党で共存するのは無理がある。

 あるグループに投票した有権者の意思が、党内の都合でもう一つのグループの支持に都合良くすり替えられるのは許されない。もちろん、同じことは再び政権の座を狙う自民党にも言える。今回の動きは、いずれ、民主、自民両党を巻き込んだ大きな政界再編につながるきっかけになると思う。
 ※本稿は民主党代表選告示前の8月31日夕刻に書かれたものです。
 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)