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<2011年06月>今度こそ日本版Fema(危機管理庁)をつくろう

 「日本の災害管理担当局の責任者は、内閣と総理にアドバイスができるだけである」「日本の政府機関はそれぞれが自らの災害対応予算を管理し、一元的管理がされていない」「災害訓練は数多く行われているが、台本にある技術の披露であることが多く、能力とか計画とか意思決定の練習になっていない。即応計画の重大な瑕疵(かし)が見逃されている可能性がある」「NGO組織は、日本政府から、災害時においてその果たすべき役割に関し、認知と支援を受けていない。NGOだけでなく個人のボランティアも政府の災害応急対応計画の上から外されている」―。

 東日本大震災後の指摘ではない。米国FEMA(Federal Emergency Management Agency、連邦緊急事態管理庁)の専門家だったレオ・ボズナー氏が、阪神・淡路大震災後の2000年ごろ、日本に1年滞在して日本の危機管理体制を分析した結論である。(出典:務台俊介『米国専門家が見た日本の危機管理』「季刊消防科学と情報」NO68 2002春号)

 「阪神・淡路大震災以降多くの日本政府関係者がFEMAを訪れたが、その後も危機管理部門で仕事をしている人はごく少ない。訪問者も個人的な見聞を広めるためという感が強い」(出典:同上)とも記されている。

 東日本大震災後、政治の混迷ぶりや省庁の縦割りの弊害が批判される一方、現場の関係者の不眠不休の努力や被災者の忍耐と協調が称賛されている。だが、言うまでもなく、日本人や東北人の根性と礼節が、社会システムの欠陥を帳消しにするものではない。多くの人がボズナー氏の指摘に共鳴すると思うが、そうであれば、今度こそ、徹底して改善しておくべきだ。

 それは、平時から危機管理組織を機能させ、それを中心に危機発生時の役割分担を決め備えておくことである。筆者の専門であるPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)の原則である事前の「リスクとリターンの設計」「契約によるガバナンス」の考え方がそのまま当てはまる。

 東洋大学では、PPPスクールのサム田渕教授率いるPPPの専門家チームで日本版FEMAのあり方を研究し、以下の結論を得た。

(1)国の独立機関とし、トップは政治家ではなく危機管理専門家が就任し5年任期を保証する

(2)職員は新規に雇用することなく、関連省庁の本庁職員を現場中心に再編することで確保する

(3)平時よりフルに機能させる(全国の危機管理システムの維持、シナリオのない防災訓練の実施、復旧復興のための資源の日常管理などを担う)

(4)被災時から復興時まで、危機対応に必要なすべての国の資源(人員・物資・予算)を動員する権限を持つ

(5)自治体、民間企業、NPO・NGOとの間の役割分担の調整権限を持つ―の5点である。

 東洋大学では、7月4日(月)午後、東京・大手町にボズナー氏ほかの海外の危機管理の専門家を緊急招聘(しょうへい)して第6回国際PPPフォーラム「危機管理とPPP」を開催する。フォーラムの前の週末には東北の被災地を訪問し、自分たちの目と耳で被災地を実感してもらう予定である。ボズナー氏から10年前と異なる評価が出るのか、あるいは、重ねて同じ指摘をされた日本人が今度こそ変革するにはどうすれば良いか、フォーラム参加者と一緒に考えたいと思っている。

 ※第6回国際PPPフォーラムは終了しました。資料は「第6回 国際PPPフォーラム プログラム・資料等」をご確認ください。

 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)