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<2012年01月>ハコもの依存度が一目瞭然=自治体別公共施設面積を調査

 筆者がセンター長を務める東洋大学PPP研究センターは、全国自治体の公共施設延べ床面積のデータを公表した。このデータは、最近大きな注目を集めている社会資本の老朽化に伴う更新投資の負担の大小の目安となる指標であるが、制度的に公表が義務づけられておらず、今回の調査によって初めて網羅的に把握されたものである。

 調査にあたっては、大学院院生・修了生および神奈川県秦野市職員の有志によって組織された「社会資本基礎データ研究会」が、すべての自治体ホームページを閲覧して該当数字を探す作業を行った。

 その結果、都道府県では47すべて、市区町村でも相対的に規模の大きな自治体を中心に981(数では56%、人口カバレッジでは88%)での公表が確認され、自治体においても開示すべき情報として認識されていることが判明した。さらに、将来の国民負担に直結する「人口1人当たり延床面積」を用いて簡単な分析を行った。以下がその要旨である。

 第一に、981市区町村平均は3.42平方メートルであった。これに対して、この問題に先行的に取り組んでいる複数の首都圏自治体(神奈川県藤沢市、秦野市、千葉県習志野市、さいたま市等)の数値は2~3平方メートルと平均よりもかなり少ない。にもかかわらず、これらの自治体では、いずれも詳細な試算によって将来の更新投資財源の大幅な不足を見込んでいる。日本全体ではさらに深刻な事態が予想されると言わざるを得ない。

 第二に、人口規模が小さい自治体ほど1人当たり面積は大きくなるものと推測されたが、実際には、人口規模との相関はあまり見られなかった。それどころか、同程度の人口規模の自治体同士でも、1人当たり延床面積には数倍の開きがあることが判明した。例えば、政令市同士を比較すると、大阪市、北九州市、名古屋市、神戸市が4~5平方メートルである一方、札幌市、川崎市、横浜市、堺市、さいたま市などは2~3平方メートルとなっている。今後、公共施設をどの程度建て替えるかの国民的合意が求められるが、少なくとも、ぜいたくなハコものを有している地域が、ハコものを増やさずつつましく暮らしている地域の住民の支払う国税によって補助されるという不公平さが認められるはずはない。公共施設の多い自治体には思い切った決断が必要なのである。

 第三に、人口規模によらず、平成の大合併を経た自治体の方が1人当たり延べ床面積が大きくなっていることが判明した。単純に合併した場合、1人当たり面積は変わらないはずであり、この値が大きいということは、もともと施設の多い自治体同士で合併したか、合併を機に施設建設を進めたかのいずれか(もしくは双方)が考えられる。筆者は、さまざまな地域で「合併特例債が使えるうちに施設を作ろう」という本末転倒な話を聞いてきた。負担を軽減することを目的とする民間企業同士の合併とは、正反対の結果になっているのである。

 この数値と分析は「日本で初めて「全国自治体公共施設延床面積データ」を公表」で公開している。各自治体が、この数値を把握することで、類似自治体と比較して自分の位置を把握し、今後必要となる公共施設の統廃合や再配置などマネジメントに反映させることを期待している。
 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)