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<2014年01月>次元の違うインフラ老朽化対策へ

 24日、総務省から「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針(案)の概要」が全国に送付された。同計画は、昨年11月に政府として策定した「インフラ長寿命化基本計画」に規定されているもので、今後すべての自治体に策定が求められることになる。

 公共施設等総合管理計画には顕著な特徴がある。対象として、公共施設のほか、道路、橋りょう、上下水道等の土木インフラが含まれるとともに、全体を総合的、長期的、定量的に検討することが求められているのである。

 現在、多くの自治体で公共施設マネジメント白書が作成され、いくつかの自治体では、それに基づき施設再編方針や実施計画を策定しているが、土木インフラの検討まで具体的に踏み込んでいる自治体はほとんどない。また、橋りょう、上下水道、公営住宅では、個別分野ごとの長寿命化計画が作られているが、これらは縦割りの発想で策定されているもので、自治体財政全体の裏付けを持ったものではない。所要金額を積算すると公共事業予算の限度を軽く超えるのが実情だ。

 筆者は、以前、自治体から助言を求められた際、学校、公営住宅、上下水道などに手を付けないでほしいと言われたことがあった。危機感が欠如しているだけでなく、住民に対して無責任といわざるを得ない。聖域なく見直さない限り、インフラ老朽化問題は解決しない。

 筆者の試算では、現状の公共事業予算を維持できると仮定しても、現在ある公共施設やインフラは3、4割削減しなければならない。90年代から維持補修の必要性が指摘されていたにもかかわらず、相変わらず新規投資にまい進している間に、既存施設の老朽化が進み、高齢化により急増した社会保障に予算を割譲する状況に陥った。その結果、次世代に「先進国中の最悪の不健全な財政と朽ち行くインフラ」を渡そうとしている。許されることではない。

 公共施設等総合管理計画では、計画倒れにならないように、数値目標、施設等の統廃合・新設・点検・診断・維持管理・補修・大規模改修・更新の具体的な方針、フォローアップ体制、民間や市民との連携などを具体的に規定することになる。まさに、今までとは次元の違う対策が開始されるのだ。老朽化に注目が集まり始めて約3年。ようやく本質的な対策の緒に就いた。

 行政として、議会として、そして市民として、次世代に「健全な財政と安全なインフラ」を引き継ぐためにありとあらゆる努力を払うべきだ。今、その覚悟が問われているのである。
 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)