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<2014年06月>インフラ老朽化は解決すべきステージへ

 「公共施設等総合管理計画」東洋大学版標準構成を公表

 5月21日、国土交通省は、「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」を公表した。これは、昨年11月29日に、インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議で策定した「インフラ長寿命化基本計画」において、今後策定するとされた各省庁の行動計画の国土交通省版に位置付けられる。国土交通省は多くのインフラを所管しており、その動きは他省庁にも大きな影響を与えるはずだ。一方、実際にインフラの大半を所有している地方自治体には、4月22日付で総務省から「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針」が通知された。

 ここ数年指摘されてきた老朽化による安全への懸念、予算の大幅な不足による財政上の制約に対して、いよいよ解決が求められるステージに入ったのである。

 筆者は多くの自治体で不足率を計算してきたが、現在のインフラを現在の仕組みで維持するためには、少なくとも2、3割、多いところで数倍の予算不足が見込まれている。つまり、総合管理計画の策定や実行には、統廃合や受益者負担の引き上げなどの「痛み」を伴わざるをえない。老朽化問題は、立派なインフラを大量に持つことが「豊かさ」だと考えて新規投資を繰り返し、もともとのインフラを大事にしてこなかった結果発生した。いわば地域の生活習慣病だ。治療の「痛み」から逃げて病気を直視しない、いわんや反対する政治家や官僚は、さらに深刻な「痛み」を受けることになる次世代から厳しく糾弾されることになるだろう。

 さて、総務省指針の公表で、各地の自治体は検討に入りつつある。すでに計画を策定している先進自治体ではそのまま使える場合もあるが、多くの自治体にとっては暗中模索であろう。

 今般、筆者がセンター長を務める東洋大学PPP研究センターでは、掛け声倒れにおわらせないよう、自治体が総合管理計画を策定する際の参考にしていただくための「標準構成」を作成した。いわば計画の目次のようなもので、四つのパートから構成される。

 第1は、自治体の概要である。地勢、歴史、人口、産業、財政などの過去、現在、未来について記載する。このパートは地域から見ると自明のこととして軽視されがちであるが、実は病気の原因はここにある。例えば、「合併の前後に文化ホールや集会施設を各地区に建設した」「老朽化に伴う更新はすでに始まっており更新の際に従来規模の1.3倍にした」「川で分断された地区ごとにワンセットの施設を有する」などである。原因に目を背けていると治療はできない。

 第2は、公共施設等の現状である。多くの自治体で前例のある公共施設マネジメント白書はまず必須である。作成済みの自治体でも土木インフラのデータは非常に少ないので補完が必要だ。データが整備されれば、予算不足の現状把握とともに対策の効果を計算できる。計画の進行管理のためにも自治体職員が簡便に使える表計算ソフトを作っておく必要がある。

 第3は、総合管理の方法と効果である。公共施設には、廃止、広域化、統廃合・多機能化・集約化、ソフト化(民間代替、サービス代替)など、土木インフラには、重複・不要による廃止(浄水場、処理場など)、広域化、集約化、別サービス代替などさまざまな方法がある。また、両者に共通する対策として、予防保全、PPP、公的不動産活用、エネルギー・マネジメント、スペース・マネジメント(施設のレイアウト変更など)もある。これらの方法を、各インフラごとに具体的に当てはめて、最終的に予算不足を解消する計画を策定する。分かりやすい数値目標も必要だ。

 第4は、総合管理計画の実施方法だ。具体的には、(1)組織体制「計画の策定と実施のほか、PDCA、公会計との連動、研修など」(2)管理方針「点検・診断、施設等の点検・診断、維持管理・修繕・更新等、安全確保等の方法・方針、公的不動産の利活用方針など」(3)公民連携「PPP/PFIの導入方針、民間提案制度、その前提としての情報開示など」(4)市民参加・市民自治「市民への情報開示、広報、市民参加のためのシンポジウム・ワークショップ、学校教育への協力、市民による管理計画の実行(予防保全活動の実施)など」-である。

 東洋大学版「標準構成」のハードルは決して低くないが、これに沿ってしっかりと検討すれば総合管理計画ができあがるはずだ。自治体職員、議員、住民は自由に利用可能であり、地域の実情に合わせて適宜削除や追加をしていただいて構わない。

「標準構成」および公共施設等総合管理計画セミナーについては「公共施設・インフラマネジメント」をご参照ください。

 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)