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<2014年10月>地方創生を成功させる三つのポイント

 10月14日に地方創生法案が衆議院で審議入りした。戦後何度目かの地方対策となる今回は何をすべきだろうか。

 第1は、人口減少期のビジョンとして「コンパクト化」を明確に打ち出すことだ。

 人口減少が続く中、政府は50年後も1億545万人を維持する目標を打ち出しているが、それが実現しても現在から2割近く減少することに変わりはない。11人で行うサッカーを9人で行うのと同じだ。もともと、日本は面積の3%の人口集中地区に67%の人口が集中している。人口集中地区の人口密度を今後も維持するなら、人口集中地区以外の人口は現在の46%に低下する。地方というサッカーチームは5人でプレイしなくてはならなくなる。少ない人数でいかにゲームプランを練るかは、監督である国の仕事だ。

 こういう状況で、「すべての地区に人を住まわせ、それを支えるためのインフラを整備せよ」というのは、「コートいっぱい走り回れ」と叫ぶだけの無責任なファンと同じだ。

 すでに集積のある地区を拠点として選び、そこに集中投資するとともに、住民は拠点地区に移住してもらう「コンパクト化」が必要だ。農林水産業の維持およびそれを通じた国土保全、環境保全は、拠点地区からの通勤によってまかなうことになる。

 すでに、総務省の「地方中枢拠点都市」構想、国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」、改正都市再生特別措置法の「多極ネットワーク型コンパクトシティ」では、「コンパクト化」の方向性と政策が打ち出されている。今後は別の政策を考えるのではなく、これらの政策を着実に具体化していけば良い。

 第2は、従来型の公共投資を支援しないことだ。

 公共サービスを公共投資で提供する従来型の方法では、人口が減少すると維持管理費、修繕費、更新費などの固定費の一人当たり負担は逆に大きくなる。(1)異なる機能の複合化や他都市との共用によりできるだけ投資を小さくする(2)民間や市民の力を使う(PPP/PFI)(3)配達やITを使ったソフトなサービスに切り替える(給水車、移動図書館、電子図書館、遠隔医療)―など、費用を固定しない方法を支援すべきだ。本学が継続的に支援しているオガール紫波事業(岩手県紫波町)は、民間の知恵と負担で公共施設を整備し税金の負担を最小限にとどめている。

 もちろん、今後も必要な公共施設やインフラの予防保全を支援するのは構わない。予防保全は日々の努力の積み重ねであり地元の利点を生かせる。公共施設や道路などの予防保全業務を包括的に民間委託すれば、地元企業も堂々と競争して落札できるはずだ。

 第3は、保有する固定資産のデータベースを作ることだ。現在、大半の自治体では固定資産台帳が整備されていない。民間のように会計情報を用いた経営ができないと、持続性のない事業を進めてしまいかねない。総務省では固定資産台帳の導入を進める方針だが、地方圏では作業に割ける職員がいないため、かなりの時間がかると予想されている。

 これに対して、国が一括して人材を雇用し全自治体に「データベース応援隊」として派遣する方法を提案する。金融、建設、不動産等の産業には定年前後の人材が豊富にいる。彼らが、固定資産の劣化状況や不動産価値を含めて実物を確認し、データベース化し経営診断も行う。1自治体平均5人を全自治体に3年間派遣しても、総額3千億円程度で済む。1988~89年に実施されたふるさと創生事業(いわゆる1億円事業)の予算総額と同程度であり決して過大な負担ではないと思う。一度データベースを作れば、あとは職員や市民を中心にメンテナンスできるので多額の後年度負担が残ることはない。

 しかし、こうした人口減少への対応に失敗すれば、財政的に破綻する自治体も発生し、その影響は地方自治制度全体にも及ぶだろう。
 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)