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<2018年01月>2018年1月人口減少時代に地域の拠点をどこに絞るか=学校統廃合シミュレーション結果

 人口減少への対応は、全国の自治体にとって最重要の課題である。地域をフルにカバーする従来型の発想で公共施設や土木インフラの維持を続けると、いずれ支えきれなくなり破綻する。更新投資の時期を迎えている今の時期に、地域内でいかに集中投資するか、言い換えればどこを拠点にするのか決める必要がある。

 この難しい問題に答えるため、筆者は学校統廃合シミュレーションという方法を使って全国の地域拠点を具体的に決定する作業を行った。その結果、小学校数、中学校とも現在に比べて約7割減少することになった。学校統廃合を採用した理由は、施設の数や規模について法令等による目安が示されていること、現在でも地域拠点として認識されていること、拠点施設として十分な施設規模を有していることの3点である。

 文部科学省の客観的な目安(1学級35~40人、1校12~18学級)に従って、適正規模として小学校690人、中学校720人を算出したうえで、現在の児童生徒数で割り算し、現在の児童生徒数の多い順に全国で順位付けしたうえで多い順に拠点として残すという方法である。

 7割減になる理由は、(1)そもそも現在の学校当たり児童生徒数が小中学校とも3百人台であり適正規模を大幅に下回っていること、(2)さらに試算の前提として将来の児童生徒数を現在から3割減と仮定していることの2点によるものである。特に、(1)に関しては、本来もっと早く統廃合を進めておけばよかったわけであり、反省すべき点は多い。

 シミュレーション結果として、存続校は都市部に多く残り、地方圏では学校がゼロとなる自治体(以下「ゼロ自治体」)が多数(小学校846、中学校986)発生することが明らかになった。また、大都市圏でも都心部は統廃合対象校が多いこと、コンパクトシティの先駆者である富山市では中心部と鉄道沿線沿いに存続校が残ること、沖縄県は存続校の割合が高いこと、現時点ですでに適正な校数になっている自治体も少なくないことなど興味深い事実も明らかになっている。

 一方、ゼロ自治体の多くは、現在小規模校を多数抱えている自治体である。言い換えれば、市区町村内で統廃合する、あるいは、近隣自治体と連携することにより、少なくとも1校は維持できる可能性がある。こうして適正な規模を有する地域拠点設定によって、すべての児童生徒に適正規模での教育環境を提供できるのは当然として、集会施設や福祉施設の機能を学校に移転することにより機能を維持しつつ大幅に施設を削減できる、土木インフラの維持管理水準も拠点周辺に集中させることで費用を大幅に節減できるなどの効果がもたらされる。

 現在、自治体は公共施設等総合管理計画の策定を完了し、個別施設計画の策定を進めつつある。しかし、現状の問題点を微調整する発想で取り組まれることが多いため、筆者は、「大多数の無関心と少数の大反対」に見舞われかねないと懸念している。逆に、本シミュレーションのように将来の姿を先に示すことで、「大多数の住民を関係者として巻き込む」ことで冷静な議論を促されるのではないだろうか。

 ※本研究は東洋大学PPP研究センター紀要 第8号に研究成果を掲載している。

 著者:根本 祐二(公民連携専攻長)