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公民連携専攻 概要

特徴

豊かな公共 小さな政府 間をつなぐPPP
公共サービスは政府(国、地方自治体)が提供しています。より多様で充実した公共サービスが存在することは、人々にとって幸福なことです。しかし、国民負担を無制限に拡大することはできません。できるだけ豊かな公共サービスを、国民の負担が少ない方法で実現する唯一の方法がPPP です。PPPは、従来行われてきた「大きな政府」と「小さな政府」のいずれを選ぶのかという政治論争に終止符を打ち、官民の責任ある役割分担によって公共的な目的を実現する方法として、現在、多くの国の経済政策の柱となっています。東洋大学は2006年度以降、この分野の世界におけるトップランナーとして活動しています。

理論と実践を両方カバーするカリキュラム
東洋大学のプログラムの特徴の第1は、経済学や財務理論など数値化できる手法を駆使していることです。PPPの政策やプロジェクトの優劣を、数値によって表現された複数の選択肢を比較して決めていきます。PPPを政治や思想から解放し、純粋に科学的に探究するためです。特徴の第2 は、現場での取り組みを重視していることです。院生は自分の仕事上の課題を持ち込み、教員や他の院生からアドバイスを得ることができます。こうして全国、世界でいくつものプロジェクトが育ちました。このプログラムは地域再生支援プログラムと呼ばれ、世界のPPP機関でも採用されつつあります。

定義

公共サービスの提供や地域経済の再生など何らかの政策目的を持つ事業が実施されるにあたって、官(地方自治体、国、公的機関等)と民(民間企業、NPO、市民等)が目的決定、施設建設・所有、事業運営、資金調達など何らかの役割を分担して行うこと。 その際、(1)リスクとリターンの設計、(2)契約によるガバナンスの2つの原則が用いられていること。

分類

社会に存在する非常に多くの活動はPPPに位置付けることができます。つまり、PPPは皆さんの身の回りに普通に存在するものなのです。

専攻創立者の言葉

日本の負債依存度はギリシャよりもスペインよりも高く、OECDでは最悪の水準にある。子どもや孫の世代に負担をかけることなく、国や地域を維持し発展させていくには、どうすれば良いか。公共事業依存では破たんは避けられない。民だけでできることにも限りはある。であれば、PPP 以外に道はないだろう。
東洋大学では、2006年度にPPPスクールを開設して以来、世界初のPPP専門の教育研究機関として活動してきた。2015 年には世界で唯一、地方自治体に対するPPP の教育研究機関として国連の認証を得た。日本代表として胸を張れる成果だ。 
是非、世界の人材に集まっていただきたい。そして地域、国、世界を変えていただきたい。志ある人材に、東洋大学は支援を惜しまない。

塩川 正十郎(1921-2015)
元東洋大学総長、元財務大臣

専攻長メッセージ
10年後のPPP市場を見据え、各界のPPPリーダーを育成します。

PPPとは単なる特定の法律に基づいた手法ではありません。持続可能で豊かな社会を実現するための国や地方自治体のあり方、行政や議会のすべきこと、市民の権利と義務、民間のビジネスチャンスの有無、そして世界の発展に貢献できるかなどを総合的に考
える、幅広い概念であるべきです。

このようにPPPを広く捉えることで明らかになった3つの方向性、「シティ・マネジメント」「PPPビジネス」「Global PPP」を、専攻の柱としています。

現在、政府はPPP/PFIのアクションプランにおいて、10年間で21兆円の数値目標を出していますが、私はすべての公共事業、公共サービスをPPPで行うことを原則に考えます。名目GDPの政府支出は約120兆円ですから、この1割がPPPになるだけでも数値目標
の何倍もの規模に相当します。

今後PPPが爆発的に拡大するためにも、発展のボトルネックである人材不足を解消すべく、本専攻では各界のPPPリーダーを育成していきます。

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根本 祐二
東洋大学大学院
経済学研究科
公民連携専攻長
PPP研究センター長

歴史
2006年     塩川正十郎がPPP 専門の大学院として開設
     第1回国際PPPフォーラム開催(以降毎年継続)
     公民連携白書「2006~2007」発行(以降毎年継続)
2007年     文科省大学院GP選定(~2009年)
     自治体と連携した地域再生支援プログラム開始
     (第一号岩手県紫波町)
2008年     文科省戦略的研究拠点整備事業選定(~2012年)
     PPP研究センター設置
     インターネット通学制度開始(リモート受講)
2011年     アジアPPP研究所設置
2015年     国連CoE 地方政府PPPセンターとして認定
2019年     英語だけで修了できる英語トラック設置
     国立国会図書館科学技術に関する調査プロジェクト「インフラ老朽化対策と維持管理技術」採択
2024年     教育プログラム改革

インターネット通学制度
PPP は、大都市圏だけでなく地方圏において強いニーズがあります。本専攻では、2008年より、通学が困難な地方在住の方が学べるように、web会議システムを活用してリモート受講を認めるインターネット通学制度を開始しました。平常は、土曜日を含めてリモート受講を行いつつ、たとえば出張で上京する機会にキャンパスに通学することで、対面により人脈を広げることができます。10年以上の経験を経て既に完成された制度として運用しており、地方圏在住の多くの院生が修了しています。
なお、本専攻は通信制課程ではありませんので、一定の通学は必要となります。また、留学生は通学が必要です。